みかじめ料縁切り同盟

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Ç記事一覧法人・事業者向けみかじめ料縁切り同盟

(愛知県弁護士会 民事介入暴力対策特別委員会 弁護士 亀村 恭平 氏 )

みかじめ料とは

暴対法9条4号は「縄張内で営業を営む者に対し、名目のいかんを問わず、その営業を営むことを容認する対償として金品等の供与を要求すること」を禁止しており、警察白書等では当該行為を「みかじめ料要求行為」としています。

もっとも、暴対法9条5号は「用心棒料等要求行為」を規定していますので、暴力団員が支払を要求する金品等を広く「みかじめ料」と表現することもあります。

平成26年版警察白書によれば、暴対法9条4号の「みかじめ料要求行為」を理由とする中止命令の件数は平成21年に176件、平成22年に159件、平成23年に169件、平成24年に152件、平成25年に168件と推移しており、減少傾向にはありません。

縁切り同盟とは

縁切り同盟とは、みかじめ料の支払を要求された事業者、今後要求されるかもしれない事業者などが、みかじめ料等の支払を拒絶する同盟を結成するものです。

同盟結成により、個々の事業者では拒絶しにくい場合であっても、縁切り同盟に加入していることを理由に支払を拒絶することが可能となります。

具体例

現在、全国に複数の縁切り同盟が結成されていますが、その中でも高知県の縁切り同盟が有名です。

高知県の縁切り同盟の活動として、縁切り同盟加盟者の代理人である民暴委員会所属の弁護士名で暴力団代表者に対しみかじめ料を支払わない旨の内容証明郵便を送付しています。

また、縁切り同盟加盟店には、加盟店であることがわかるステッカーが配布されています。旅行等で高知を訪れ
た際にはステッカーが貼られた店舗を探してみてはいかがでしょうか。

さらに、高知県警のホームページには、縁切り同盟加盟店舗の所在地と店名が記載されるなど、警察と連係した活動もなされています。また、その甲斐もあってか、縁切り同盟加盟店舗への嫌がらせ等の被害報告はなされていません。

まとめ

暴力団による金品の要求については暴対法や暴排条例による規制がなされていますが、統計資料からもわかるようにみかじめ料の要求は未だに存在します。みかじめ料の要求を一掃するには、各事業者の努力が必要不可欠です。

もっとも、暴力団は恐怖心を利用して金銭を要求しますので、現実に要求を拒絶するには勇気がいります。しかし、高知の例を挙げたとおり、縁切り同盟は事業者が要求を拒絶するための勇気を与える1つの手段となり得ます。

愛知県においても、県民会議、愛知県警、弁護士がより密に連係して、縁切り同盟結成によるみかじめ料要求の排除を進めていければと思います。