みかじめ料賠償訴訟に画期的判決

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(愛知県弁護士会 民事介入暴力対策委員会 弁護士 田中清隆・木下芳宣・宇都木丁寧 氏 )

特定抗争指定暴力団六代目山口組の参加組織幹部から「みかじめ料」を支払わされたとして、愛知県内の男性が六代目山口組組長と傘下組織幹部に慰謝料を含め約1,073万円の損害賠償を求めた控訴審判決において、名古屋高裁は令和5年12月14日、損害賠償請求の大半は時効が成立するとした一審判決を変更し、賠償額をを47万円から751万円に大幅に増額して支払を命じました。(令和5年12月15日付朝日新聞、読売朝刊等掲載)

原告の男性は、2005年10月ころから2016年8月ころまでの間に10回にわたり776万円を組幹部に支払わされたと主張していました。高裁は、大半の徴収は時効が過ぎているが、組側からの継続的な脅迫で「金銭の返還請求などの合理的な対応ができる心理状態ではなかった」と認定し、その上で「組側が時効の成立を主張することは権利の乱用で許されない」と指摘し、時効成立分を含めて賠償を命じました。暴力団による違法なみかじめ料の要求行為に時効は認められないとする画期的判決で、これまであきらめていた多くの被害者の救済につながると期待されています。

訴訟費用等の無利子貸付

今回のみかじめ料賠償訴訟においては、暴追センターが被害者の男性に訴訟費用661,800円を無利子貸付し、暴力団被害の救済に努めてきました。この「訴訟費用等の無利子貸付」については、令和4年度から特殊詐欺のような全国的広域犯罪で、被害者の救済を図ることが愛知県内の暴力団又は暴力団員の不当行為等の防止に資すると判断される場合は、被害者の居住地や活動基盤が愛知県内でなくとも無利子で訴訟費用等の貸付けを受けることができるようになりました。

訴訟提起のための諸経費や弁護士費用等の訴訟費用の他に、違約金の支払い等契約解除に必要な費用の契約解除費用や被害回復、治療等に必要な経費の被害修復費用等が含まれます。ぜひ、ご活用ください。