反社会的勢力との交渉を録音して良いのか?

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(愛知県弁護士会民事介入暴力対策特別委員会 弁護士 海田 雅史 氏 )

~交渉経緯・内容を記録化する~

反社会的勢力との交渉を録音して良いか?

反社会的勢力と交渉することになった場合、その交渉経緯及び内容を記録化するため、録音をしても良いのでしょうか。

答えは、イエスです!

交渉の相手方に録音する旨告げて録音する場合は勿論のこと、相手方に黙って録音する場合でも、法的に何ら問題はありません。

特に、相手方に黙って録音する場合、何らかの犯罪になってしまうのではないか、また、その録音内容が後に証拠にとして利用できないの
ではないかと不安に思われる方が多くいます。現実に、そのようなご質問・ご相談をしばしばいただきます。

しかし、全く自分と関係のない人たちの間の通信を無断で録音する場合とは異なり、直接の会話の当事者が録音することは、相手方の言っていることをメモすることと全く変わりがなく、違法となることはありません。

録音の効用

録音の効用は、メモと違って、相手方の言い分や言い方を正確に記録することができることです。交渉経緯及び内容を正確に記録化し、後に問題となった際に証拠として利用すべく、積極的に録音を活用していただければと思います。

例えば、相手方が脅迫をしてきているような場合、その録音が、脅迫、恐喝、強要、威力業務妨害等の犯罪が成立することの有効な証拠となり得ます。

また、副次的には、相手方に録音をする旨、もしくは録音している旨告げれば、相手方は、その録音が証拠として利用されることを警戒するため、当方に向けられる言い分や語気が穏やかになる可能性が高く、相手方の攻撃を弱めることに繋がります。

さらには、録音している当方も、録音していることを自覚することにより、不用意な発言をしないように注意深くなり、より良い交渉に繋がることになるでしょう。

以上のとおり・・・

相手方との交渉を録音することは、何ら法的に問題ありません。

紛争になった場合の基本である、交渉経緯及び内容の正確な記録化をすべく、自信を持って録音し、証拠として役立ててください。